絶望から幸せになる2:苦しむ自分を受け入れること

抑鬱により苦しみが生じる

抑鬱のときは様々な苦しみが生じます。例えば, 他者のあらゆる行動から拒絶・排斥を読みとるようになります。他者の状況・あり得た自分の状況との比較により, 過去の拒絶・排斥を思い出し, 自分に欠けているもの・失われたものを知覚するようになります。何も楽しみに思えず, 何にも興味が持てず, 人生には意味がないと感じるようになります。

更に, 拒絶・排斥の知覚をきっかけに, 自分で自分を軽蔑・嫌悪したり, 他者が自分を軽蔑・嫌悪しているのを想像します。社会的価値の低い個体を排斥するために軽蔑・嫌悪が生じるのと同様に, 社会的価値の低い自分を排斥するために軽蔑・嫌悪が生じるのです*1。その軽蔑・嫌悪を知覚した自分は, 更なる拒絶・排斥を感じて苦しみます。

自尊心の低下により抑鬱が生じる

このような抑鬱的な認知的変化は, 排斥の危険を察知した進化的システムが, 社会的リスクテイクを抑制することで, 排斥を避けようとするために生じます。このことに関しては以下の記事で説明しました。

苦しむ自分を受け入れる

逆に, 抑鬱を解除するには排斥の危険はないと知覚する必要があります。そのためには, 受容・承認の知覚を促進し, 拒絶・排斥の知覚を抑制する必要があります。従って, 自分を受容・承認する他者とのコミュニケーションを促進し, 自分を拒絶・排斥する他者とのコミュニケーションを抑制することで, 抑鬱を緩和することができます。

ただ, 全ての人が自分を受容・承認する他者に恵まれているわけではないし, 自分を拒絶・排斥する他者と距離を置けるわけではありません。そもそも, 自分を受容・承認する他者がいないから, 拒絶・排除する他者と距離が置けないから抑鬱になるのです。

従って, 最も安定的に抑鬱を解除する方法は, 自分で自分を受け入れることです。

自分を受け入れるのは, 自分が他者より優れているからではなく, 自分が他者と同じだからです。自分の苦しみは, 他の多くの人々も経験する苦しみだからです。自分の苦しみは自分に価値がないことを意味せず, むしろ自分が普通の人間である証だからです。

だから, 苦しむ自分を受け入れてあげます。拒絶・排斥ばかり読みとる自分, 悲しい過去ばかり思い出す自分, 自分・環境の欠点ばかり見てしまう自分, 未来に希望が持てない自分, 何も楽しみに思えず, 何にも興味が持てず, 人生に意味がないと感じる自分, 自分を軽蔑・嫌悪する自分, 他者の軽蔑・嫌悪を想像する自分を受け入れてあげます。

このような自分に対する向き合い方を自己同情(Self-Compasison)と言います。自己同情は安定的に自尊心を高めることを, 多くの研究が示しています。*2

*1:Gilbert P & Hempel S. 2004. Criticizing and reassuring oneself: An exploration of forms, styles and reasons in female students

*2:例えば Ehret et al. 2015. Examining risk and resilience factors for depression: The role

of self-criticism and self-compassion